【ライオンのおやつ】「ただ生きているだけでいい、幸せは案外身近にある。」そう思わせてくれる小説だった。
こんにちは!ナイーヴです。
2020年本屋大賞第2位の作品「ライオンのおやつ」を読んだ。
全国の書店員が「一番売りたい本」を毎年選ぶ本屋大賞。
僕は毎年本屋大賞ノミネート作品は必ずチェックしている。
そして今年はこの本を購入した。
小川 糸 著 「ライオンのおやつ」 ポプラ社
あらすじは?
主人公は「海野雫(うみのしずく)」という33歳の女性。
ガンを患っており、人生の残りの時間を瀬戸内海にある小島(通称レモン島)にあるホスピス「ライオンの家」で過ごすことになる。
物語では、雫が人生の終盤を迎えるにあたり、何を想い、何を考え、どのように生きていくかが描かれている。
この小説には何か特別な出来事や事件があるわけでもない。
死を間近にした主人公の大恋愛が描かれているわけでもない。
毎日の日々の営みが淡々と描かれているだけだ。
この本を選んだ理由。
僕自身、毎日淡々と同じような日々を送っているわけだけど、以前はそれがイヤでイヤで仕方がなかった。
こんななんの変哲もない(むしろツライ事の方が多い)日々が続く人生っていったいなんなのだろうといつも思っていた。
だけどアラフォーになって、
「もう、人生も折り返し地点なんだなぁ・・・。」
「もしかすると、もうとっくの昔にすでに折り返していて、人生の残りももうそんなに残っていないのかもしれないな・・・。」
と思うようになった。
すると寂しさもあるんだけど、それとは別に、今まで生きてこられたこと、今現在毎日を無事に元気に過ごせていることに感謝の気持ちが湧いてきた。
以前は何の取り柄もない、むしろ人並みのことすらできない自分のことが嫌いで嫌いで仕方がなかった。
けれども、毎日元気に働くことができる、ご飯を食べられる、手や足が動く。
それだけで、自分のことが少し好きになった。
そして、これから残りの人生は、死ぬ時にする「後悔」ができるだけ少なくなるよう生きていこう。
必ず訪れる「老い」や「病」、「死」に対する恐怖心をできるだけなくすよう勤めていこう。
そう思った。
で、少しでも死を怖くないものと思うことができればいいなと思い、この小説を読んでみた。
感想は?
上にも書いた通り、この小説には特別な事件や出来事なんて何も起こらない。
だから、ハラハラドキドキもしない。
その代わりに、何の変哲もない日常がいかに素晴らしいものかを教えてくれた。
小説の中には、自分の人生や日常が愛おしくなるような言葉が書かれている。
以下は、小説の中に書かれている特に印象に残った言葉だ。
・明日が来ることを当たり前に信じることができるのは幸せなこと。
・人生はままならないことばかり。
自分の思った人生を生きることができなくて死を迎えるとしても、それはそれでいいのかもしれない。
・何でもない日常が貴重に思える日は必ずやってくる。
無邪気に過ごしていたあの頃の日々をギュッと抱きしめたくなるほど愛おしくなる日も必ずやってくる。
・一日一日をちゃんと生き切ること。
どうせもう人生は終わるのだからと投げやりになるのではなく、最後まで人生を味わい尽くすこと。
・今を生きているということが一番大事。
目で見て感動したり、触ったり、匂いを感じたり、舌で味わったり・・・。
体がなければできないことがたくさんある。
上にあげた言葉たち・・・。
分かってはいるんだけどすぐに頭の中から消え去ってしまう。
自分の思い通りにならないことばかりが目についてしまう。
毎日を平穏に過ごせるということがいかに幸せなことか。
そのことを何回も何回も心の中で反芻したり、関連する本などを読んで頭の中に考えを叩き込んでいく。
それが大事だと思う。
そうしないとすぐに忘れてしまうから。
人は「幸せになりたい。」とよく言う。
僕も、
「幸せって何だろうな。幸せになりたいな。」と思うことは今までに何回もあった。
けれども、幸せというのは結構簡単に手に入るのかもしれないと思った。
文字も多くなく、とても読みやすい小説。
そして、平凡な日常を愛おしく感じることができる小説だった。
この小説の主人公「雫」のような最後を迎えたいなと思った。
それでは!